記念品に「ふくさ」ってどうなの? 使う? 選び方は?
〈2020.10.5〉
記念品として人気のアイテムはたくさんあります。定番のボールペンや万年筆、時計、最近はモバイルバッテリーなどもよく選ばれていますよね。
どれも復数あっても困らず、すぐに使えることから、贈ると喜ばれるアイテムです。
では、ふくさはどうでしょうか?
ふくさは当然のことながら、慶弔事が無ければ使う機会がないものです。また、大人はすでに持っている人も多いことから、社会人向けの記念品にはあまり用られることはありません。
しかし実は、ふくさは高校や大学の卒業記念品として絶大な人気を誇るアイテムなんです。
ふくさが卒業記念品として人気な理由
どうしてふくさが卒業記念品として人気があるのでしょうか? それはズバリ、贈る側の親心です。実際の所、高校生や大学生がふくさを卒業記念品として受け取っても「ふくさだ! 嬉しい!」とはなりません。はい。
なぜなら、ありがたみがまだ分からないからです。これはもう仕方がありません。
ですが、社会に出ればいずれ必ず慶弔事に出席する機会は訪れます。その時、初めてもらった卒業記念品に感謝の気持ちが湧いてくるのです。
イマドキ、ふくさって使う?
ふくさを使うのがマナーと知っていても使わない人、もしくはそういうマナーがあることさえ知らない人、というのは一定数います。そして、そういう人がカバンからむき出しの金封を取り出して相手に渡したり、金封を持ってウロウロしている姿を見て「マナーがないなぁ」「躾が行き届いていないなぁ」と思う人も一定数います。
マナーというのは、重視する人にとっては大切なものですが、そうでない人にとっては無価値なもの。価値観の違いの話なので、そこに是非はなかなか付けられません。
ふくさに関しても、ハッキリ言ってしまえば使う人と使わない人、両方います。
ただ、インターネットの掲示板や知恵袋などで散見される「ふくさって必要でしょうか?」という相談は、大抵がふくさを持っていない人からのものです。
社会人になりたてで、まだ自由に使えるお金もそれほど多くない若者が「マナーとはいえ全員がふくさを使っているわけではないみたいだし、使用頻度がそれほど高くない物を、わざわざ買いたくない…」と考えるのも理解できます。
とはいえ、本当にそのマナーを無視して大丈夫なのかは、不安。だからインターネットで相談するのでしょう。相談しても結局「特になくても良いんじゃない?」という回答と「マナーだから必要ですよ」という回答の両方が寄せられることが多いので、最終的には自分で判断しなくてはならないわけですが(笑)
ただ、大人になれば、お通夜、葬儀、披露宴などに出席する場面は何度となく訪れます。冠婚葬祭以外にも、引っ越し祝いに出産祝い、病気お見舞いなど、ふくさの使用頻度は意外に多いんですよね。
そのたびに「ふくさ必要かな? なくてもいいかな? みんな使うんだろうか? もし使ってないのが自分だけだったらどうしよう?」と悩んだり不安になったりするのは面倒ですよね。
最初からきちんとふくさの用意がありさえすれば、そんな不安に煩わされずに済むわけです。
必要だけど、自分で積極的に買いたいとは思わないもの。それを少し先回りして用意してあげよう。そして世間にはふくさを使うというマナーが存在するということも教えてあげよう。そんな親心の表れが、ふくさが卒業記念品として選ばれるゆえんです。
豆知識1 ふくさの役割
ふくさの役割は、ふたつあります。
ひとつは、ご祝儀袋や不祝儀袋がヨレたり汚れたりするのを防ぐこと。よって、もしふくさが手元にない場合は綺麗なハンカチや風呂敷などで代用することも可能です。ただ、柔らかい布で包むだけだと、汚れはともかく、ヨレは防ぐことができません。やはり、基本的にはきちんと厚紙が入ったふくさを使うのがおススメです。
もうひとつの役割は、相手に気持ちを伝えること。
たとえば同じ3万円でも、ご祝儀をお財布から取り出して、ヨレヨレの現金をポンと渡す人はいませんよね。わざわざピン札を用意し、綺麗なご祝儀袋に入れて、それがヨレたり汚れたりしないよう、ふくさで丁寧に持ち運ぶ。そうした気遣いで、相手へのお祝いの気持ちを表しているのです。
ちなみに、ご祝儀の額が3万円を超える場合は、台付きふくさが適しています。ただ、若い間は3万円を超える金額のご祝儀を包むことは少ないでしょうから、卒業記念品として贈る場合は金封ふくさののほうが実用的でしょう。
ふくさは慶事・弔事で使える色が違うので注意が必要
ふくさは、慶事用と弔事用で使える色が異なります。お祝いの席に弔事用のふくさを持参してしまったり、弔事にお祝い用のふくさを持参してしまたりしたら、かなり気まずいことになってしまいますので、注意が必要です。
ここでは、慶事用・弔事用・慶弔両用のふくさの色についてご紹介します。
【慶事用】
慶事に用いるふくさの色は、えんじ・ピンク・赤・明るい紫・金などの暖色系です。
ただ、男性があまり可愛らしいピンク色のふくさなどを使っているところは、一般的にはあまり見かけません。
【弔事用】
弔事で使うふくさの色は、紫・紺・グレー・緑などの寒色系です。
【慶弔両用】
紫のふくさは慶弔両用です。ただし、色が明るいものや、吉祥文様が入ったふくさは紫色でも慶事にしか使えませんので、お気をつけくださいませ。
豆知識2 ふくさの柄
ふくさの柄についても「柄があってもOK!」という人もいれば「本来無地が良い」という人もいます。
いずれにしても、慶事に用いられる鶴亀などのおめでたい柄のふくさは、弔事では使えませんし、その逆もしかりです。
また、慶弔両用のふくさの場合は、用途によって開く方向が変わります(慶事は右開き、弔事は左開き)。そのため、柄入りのものは上下が分からない柄を選ぶようにしましょう。
マナーブック付きで安心!
若い人の中にも「マナーを大切にしたい」と考えている人はたくさんいます。でも、せっかくそう思っていても、マナー自体を知らなければ実行のしようがありません。
名入れ工房で記念品としてふくさをご注文いただく場合、「祝儀・不祝儀袋の書き方」や「ふくさのマナー」を解説する基本のマナー書を同梱しております。
人生これからの若い人に、マナーを学ぶ機会を提供するという意味でも、ふくさは良い卒業記念品と言えるのではないでしょうか?