ハンコの選び方&印鑑の基礎知識(前編)
〈2020.10.5〉
ハンコには柘、アカネ、チタン、黒水牛、アクリルなど、さまざまな材質があります。また、ハンコの用途も実印・銀行印・認印・社印など多岐に渡ります。
ハンコは記念品として人気のアイテムですが、材質や用途がたくさんありすぎて、一体どんなものを選べばいいのかわからない! という方も多いのではないでしょうか?
ここではそういった方々に向けて、ハンコの基礎知識をご紹介していきたいと思います。
そもそもこれからの時代、ハンコは必要なのか?
国民ひとりひとりに向けてマイナンバーの通知が始まったのは、2015年の10月のことでした。
当時はマイナンバーが普及することによって、少なくともお役所絡みのハンコ利用率はかなり少なくなるのではないか…と予想されましたが、今現在(2020.10月5日)ハンコ文化は健在のままです。
2020年の新型コロナウイルス対策として発せられた国民全員への10万円給付の申請でも、お役所がまだまだアナログ体質であることが広く知れ渡った事例もありました。
最初は、オンラインと郵送の両方で申請を受け付けていた自治体が、「オンライン申請のほうが逆に手間がかかる」として郵送での申請を奨励したのです。
なんでも、郵送で申請されたものは1日3000件処理できるのに、オンラインで申請されたものは確認項目が多いため1日350件しか処理できなかったんだとか。オンラインの意味、まったくありませんね…。
また、同じく新型コロナウイルスの影響でテレワークが推進された時期においても、ハンコをもらうためだけにオフィスに出社しなければならなかった会社員がたくさんいました。
なんだかんだで、ハンコを使用するシーンは日常の中でまだまだ多いようです。
いずれは無くなっていくであろうことが予想されるハンコ文化ですが、上記のような現状を鑑みると、おそらく向こう数年、もしくは十数年くらいはハンコは世間に残っていくのではないでしょうか。
とはいえ、これから社会に出ようとする若い層にとっては、必要性もよくわからず、将来的には世の中から消えていくのと予想されるハンコというアイテムを、自分で好んで買うことはかなり少ないと言えるでしょう。
基本的に喜ばれる贈り物というのは「自分ではなかなか買わないけれど、もらったらそれなりに使うもの」です。そういう意味でハンコは、記念品として実は根強いニーズがあります。
《豆知識》ハンコと印鑑、意味の違いをご存じですか?
ところで皆さんは、ハンコと印鑑の違いって何かお分かりでしょうか?
実はハンコそのもののことは印章といいます。そして、その印章で押した印影を印鑑と言います。「ハンコ=印章」「印影=印鑑」ということですね
よく「印鑑をご持参ください」といった文言を見かけることがありますが、正確には「ハンコをお持ちください」、もしくは「印章をお持ちください」というのが正しい使い方です。そして、「ハンコください」は「印鑑下さい」が正しい使い方ということになります。
実印・銀行印・認印など、各種ハンコの目的と用途
実印とは
実印とは「これが自分のハンコです」と、役所に印影を届け出たハンコのことを言います。実印と印鑑証明書、ふたつ揃えることで、初めて効力が発揮されます。
なお、印鑑証明書は「この印影は間違いなく本人が実印として登録しているものである」ということを証明する書類のこと。
印鑑証明書を発行するためには、役所に実印と印鑑カード(印鑑登録証・印鑑登録カードとも言います)を持参する必要があります。たとえ免許証や保険証といった本人を証明する書類があっても、印鑑カードがなければ印鑑証明を発行することはできません。
逆に、実印と印鑑カードが揃ってさえいれば、本人でなくても印鑑証明を発行してもらうことが可能です。セキュリティがしっかりしているんだかしていないんだか、よくわからないシステムですよね(苦笑)
実印を使うのはどんな時?
実印が必要になるのは、以下のような場合です。
- 高額な買い物をする時(不動産・車などの登記に必要)
- 保証人になる時
- 金銭などの借入をする時
- 法人の発起人になる時
実印を押し、印鑑証明書を添付することで「この契約が間違いなく本人の意思によるものだ」と認定されます。印鑑証明書なしに実印を押しただけでは、実印としての効力は発揮されません。
逆に言えば、実印と印鑑証明書さえあれば、本人の預かり知らぬところでも、こうした契約を行うことが可能になってしまいます。実印を使う機会はそれほど多くありませんが、だからこそ実印の効力や取り扱い方については、きちんと把握しておく必要があるでしょう。
実印にまつわるトラブル
ネットなどでよく散見されるトラブルに「実印と印鑑カードを他人に預けてしまった」というものがあります。
カーディーラーや不動産家さんから、当たり前のように「実印と印鑑カードをお預かりしますね」と言われ、なんとなく断りづらくて渡してしまったけれど、後からそれを知った家族にこっぴどく叱られ、やっと「自分が大変なことをしてしまったんだ」ということを知るパターンです。
前述の通り、実印と印鑑カード(印鑑登録証)があれば、高額な買い物・高額な借金・その保証人になる、といった重大な契約が、本人の意思によるものとして成立してしまいます。
実印と印鑑カードを他人に渡すということは、法的な責任を伴う意思決定を他人に委ねてしまうのと同義です。絶対にやめましょう。
実印&印鑑カードの保管方法
「盗難などに備えて、通帳と印鑑は別々に保存しましょう」というのは、よく聞く話ですよね。
それは実印と印鑑カードにも通じることで、保管する際は実印と印鑑カードは別々にしまっておくのがオススメです。万が一、実印・印鑑カードの片方が盗まれてしまっても、片方だけでは法的な効力は認められません。
銀行印とは
銀行印とは銀行に登録しているハンコ(印影)のことです。登録する理由はもちろん、その預金を引き出すのが本人であるかどうかを確認するため。日常的に預金を引き出す時はATMなどを利用することが多いですが、ATMで引き出せる金額には上限があります。まとまった金額を引き出す際には銀行印を持参する必要があります。
認印とは
「回覧板を見ました」「宅急便を受け取りました」など、日常的な証明に使うのが認印です。役所に提出する転出届、転入届、出生届、婚姻届などに用いるのも認印です。
3Dプリンターによる印鑑偽造のリスク
実印や銀行印といった重要な契約に用いるハンコは、印影をなるべく人目に触れさせないようにしましょう。
昨今では、3Dプリンターを使って印影からハンコを偽造することも可能です。
通帳だけで預金を引き出すことはできませんし、印鑑証明だけで何かを契約することはできません。しかし、そこに写っている印影をもとに、ハンコを偽造してしまえば、悪用出来てしまう可能性は非常に高いと考えざるを得ません。
ハンコそのものだけでなく、印影の管理にも注意が必要です。
後編ではハンコの各種材質についてご紹介します
ハンコ基礎知識・前編、いかがでしたか?
後編では、ハンコの材質などについてご紹介していきたいと思います。よろしければ、そちらもぜひご覧くださいませ。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
この情報が皆さまの記念品選びの一助となれば幸いです。